アスラエル/チアーヌ
だった。
彼女は、俺の手の拘束をほどき、酸素マスクを外してくれた。
「具合はどうですか?」
「いいわけないでしょう」
そう言いながら俺は驚いた。
あのときと同じだ。
不思議と、つらくない。
へんに体が軽い。
しゃべることができる。
「それはそうですよね。あ、そうそう。そろそろ、別のお花が咲いてるんじゃないですか?あの、ケータイのゲームで」
「ああ、どうなりましたかね。最近具合が悪すぎて見てなかったんですけど」
彼女はベッドサイドのテーブルに置いてあった俺のケータイを開いた。
「わあ、咲いてますよ」
彼女はうれしそうに言った。
俺もつられてのぞき込んだ。
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