アスラエル/チアーヌ
わからなくなった。
兄貴たちやその家族も訪れるようになった。
起き上がることができず寝たきりになり、持続的な息苦しさが例えようもなくつらかった。腹に穴をあけられ、水も栄養もそこから入れられていた。
いつのまにかつけられていた酸素マスクがうっとうしく外したかったが、あるときから俺の手は動かなくなっていた。
ベッドに縛り付けられたのだ。
ろくに声も出ないのに、
「助けてくれ、ほどいてくれ、苦しいんだ」
と何度も俺は叫んでいた。しかし妻はほどいてくれるでもなく、隣で泣くだけだった。
それに喉が渇いて仕方がなかった。
そばにいる妻に水をくれと頼んでも、霧吹きで唇を湿らせ
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