【批評祭参加作品】迷子論序説/岡部淳太郎
は秩序と混沌が表裏一体であることと通低している。いっけん正反対のものであるかに見えるそれらは、実は深い相関関係にあるのだ。
かつてイギリスの詩人ウィリアム・ブレイクは、詩集『無垢と経験の歌(Songs of Innocence and of Experience)』の中で、「失われた少年(The Little Boy Lost)」「見つかった少年(The Little Boy Found)」というふうに、「lost」と「found」という対になる概念を詩集の中でつづけて置くことで、それがただの相反する概念ではなく、ひとつの流れの中でつながっているものであることを示した。『無垢と経験の歌』という
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