【批評祭参加作品】迷子論序説/岡部淳太郎
 
迷うことが人生の迷いにたとえられる。これは人の生そのものが社会のつくり出した制度とともに伴走し、その中に捉えられることがほとんどであるからこそだ。その中で人は進み、迷い、そして疲労する。時には制度と秩序から離れて、混沌に身を投じたいと思うこともある。「意志的な迷子」となり、あえて生を無為に過ごしたくなることもある。それはまさに人生の迷子となっている状態だが、誰もが多かれ少なかれそのようにして迷うのだから、そのこと自体が悪いわけではない。また、人は秩序の中で生きるが、秩序の中でのみ生きるわけでもない。秩序の中でのみ生きようとする者は、結局は秩序を変えることは出来ない。秩序から思わず足を踏み外してしま
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