【批評祭参加作品】客観描写ということ(高浜虚子)/古月
 
絵画にたとえて説明している。
 「絵も始めはその対象物を向うに置いて形なり色なりを研究するに始まって、その形や色が出せるに従って自然々々にその対象物と作者の距離が近くなって来て、自分の心に感ずるような形や色が自由に書けるようになって来る」。それによって絵は「同時に作者を写」すようになり、「それがいよいよ進んで来ると、如何にもその作者でなければ描けないというものになって来」る。
 客観描写であっても、「その人の現われ」を隠すことは出来ない。「これが芸術の尊い所以である。」そして、詩が尊い所以でもある。

 あなたが、自分が詩にこめた内面が読み手に思うほど伝わらないと感じるとき、翻ってあ
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