【批評祭参加作品】客観描写ということ(高浜虚子)/古月
 
。」

 こうした思いを、あなたも読み手として、一度ならず感じたことがあるのではないだろうか。月並みでありふれた、百万回も繰り返された言葉を、まるで自分の言葉のように語ってみせる詩、あるいは作者のみが了解している不可思議な思想を、さも読み手と共有できているかのようにおしつける詩、そうした詩は案外に多いものである。
 読み手は書き手が思うように都合の良い解釈をしてはくれないが、同時に書き手が思うほど愚かでもない。甘ったれた不幸自慢や幼稚な素人哲学の披露といった自己満足に、他人を巻き込むのは控えたいものである。
 そうしたむき出しの主観は、それがたとえどれだけ素晴らしい言葉であろうとも、
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