たぬき裁判/……とある蛙
 
きました。

 裁判所の中は以外と狭く玄関のロビーは人が五人ほど座れる待合室とその横に郵便切手などを販売している売店などがありました。
人はたくさんいましたが、動物は一匹としていません。動物を裁くはずの裁判と勝手に思っていましたがそうではないようです。

 法廷前の開廷表には同時刻に五件もの事件が記載されていました。しかし、廷吏のアライグマは次々と事件を読み上げその度に出頭した飼主達は一人一人法廷の被告席に着席しました。ある者は蛇を、ある者はフェレットを、ある者は豚を、もちろん犬を飼っている者もおりました。裁判長のタヌキは一方的に判決を言い渡しているだけです。だれにも発言させようとしませ
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