交差点/……とある蛙
 
。枝の先には三枚の葉が紅葉している。その樹は太い幹がねじ曲がって二股に分かれ、その分け目から伸びている枝が数本。一本は真っすぐ天を指し、一本はそのまま分かれた幹の一方に先が突っ込まれ、一本はバネのように捩れている。その他一つとして揃っていない。節の多い樹だ。太い幹の節には穴が空いている。樹皮はくすんだ黄金色だ。節穴には顔がそれぞれあり、叫び声を上げているが、声は節穴から出たとたん赤い樹液に変わり樹皮にへばり付く。叫び声の樹液は少しずつ重力に従い自らの重みでゆっくり流れ出し、幹の途中で集まり、赤いゴムの固まりになる。ポタッと地面に落下したゴムは車に撥ねられは大きく弾んだかと思うと、突然地面にへばり付
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