交差点/……とある蛙
 
り付き歪んだ円盤になってしまった。地面にへばり付いた樹液はそのまま節穴の顔になり、また叫び声を上げる。叫び声を上げているが今度は声が液体になり、そのまま路上に染み出しはじめた。路上に染み出した樹液は縁石の際で膨張した固まりとなり、固まりは顔となり 叫びだす。

俺の名前を教えてくれ 俺はどこに行くのか教えてくれ と

 程無くして赤い固まりは通行する車に押し潰されて熨斗烏賊のようになり、さらに押し潰されて紙のようになり、風に吹かれて消えていった。今度ばかりは膨れることは出来なかった。

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