坂の上には雲がある/yo-yo
は 古い大阪のことで
大阪湾のことを 茅淳(ちぬ)の海と呼んだという
海には チヌという魚がたくさん泳いでいたのだ
ぼくもかつて夜の海で 恋するようにチヌを追った
だが鯛のようなその魚は 恋人のようにつれなかった
歓喜するデートは 数えるほどしかなく
いつしか チヌの海は遠くなった
むかしむかし の話はつづく
茅淳県陶邑(ちぬのあがたすえむら)の
陶邑(すえむら)とは 陶器(須恵器)を焼く村のこと
毎朝ぼくは 石段を上ってウォーキングをする
その脇の斜面に 古代の窯跡がある
かつて 須恵器を焼く煙が立ちのぼっていたという
近くには 陶器山という山があり 陶器川という川が
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