脳が頭蓋をヒカキ、夢を見た/影山影司
 
軌道でこよりを作るように歩く。
 喉の渇きと足裏の痛みを覚えるころ、気温は一層低くなり、この世の厳しさの一端を嗅ぎ取ったような気分になる。ジョギングで苦しい時間を堪えて走り続けるように、己のノルマをストイックに果たさねばならない。男の二人組を十五、けたたましい声の外国人を三十、一人ぼっちの黒人を四人、四つ以上衣装袋を持っているホームレスを六人。見つけるまで歩く。

 あなたの意識は常に思考と視界と夢をうろついていて、たとえ目を開けて歩いているからといって、あなたとてあなた自身の行動を把握しているわけではなかった。乾いた唇で「ガンジス川へ行きたい」と何度もつぶやき、それが本心の欲求ではなく、た
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