脳が頭蓋をヒカキ、夢を見た/影山影司
、ただの呪文であるということを何度も意識する。
ガードをくぐったとき、頭の上で、やたらめったらと、大きな音がすることで気がつく、始発の時間。帰らねばならん、とあなたは一見無軌道な歩みを一直線に最寄り駅へ変えるだろう。足の裏の痛みは一層増し、寒いと感じてもそれは単なる生理現象であり、あなたの心はもはや寒さを感じようともしない。全身を塗り潰す疲労と、それが呼び込む眠りを貪るために、ホームへ。
「ガンジス川へ行きたい」とまたつぶやき、そこであなたは電車の来ないレールを覗き込んではならない。ライトの当たらぬ影も、錆の浮いたレールも、コンクリートの地面も、すべてが一様に泥炭色をしていることに気がつく
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