脳が頭蓋をヒカキ、夢を見た/影山影司
 
ていると、かたことの女が「マサジ、マサジ、三千円」と擦り寄ってくる。片手を挙げてそれから逃げると、すかさずノースフェイスのダウンを着た若者などが「おっぱい、セックスはどうっスか」などと話しかけてくる。こいつらは、こんなところで、こんなことをやるために、毎日飯を食っているのだろうかと考えると、泣き出したい気分になって思わず眉間にしわがよる。すると大抵の人間は慌てて離れていくものだから、適当な角を曲がって同じことを繰り返す。ぺらぺらになってアスファルトに張り付いた吸殻の数を数えて、百の倍数になったら次の地点へ移り、ゲロを道端にぶちまける女を探すふりをしながら近くのガードをくぐり、隣のガードと自身の軌道
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