滑った感じ/八男(はちおとこ)
く」
おっさんに、ちょっと変わったやつと言われてしまった。と、共に、今までの私の思考は、勘違いも、果てしなく甚だしく、瓦解してしまった。
ティピに戻って食べた鍋は旨かったが、私の勘違いの動揺は、自分の中で処理しきれず、戸惑いがティピの天井にたまって、また、滴り落ちてくるようだった。飛び交う会話の中から、おっさんは交友も広く、みんなに愛されている人物なんだということがわかった。
若者の女が、おっさんが飲んでいる缶ジュースを、
「一口もらうで」
と、無理矢理取り上げ、ゴクゴク飲み出した。おっさんが、
「こら、飲み過ぎや!」
と言って、しばらく二人とも笑顔で缶ジュースの
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