滑った感じ/八男(はちおとこ)
しゃぶりついていた。
「ん、ん、ん、ぷはー!やっぱ最高や!」
健在をアピールすることが芸人だとしたら、おっさんは立派な芸人だと思った。おっさんの舞台は、私と一緒にいるときだけ、光り輝く。
おっさん、いいよ、そんな頑張らなくても。どんなおっさんでも、受け入れてあげるから。生涯の友達でいよう。今後、どんなおっさんでも引き受けてやろう。おっさんの死に目にも会いたい。そんな縁起でもないことを考えてしまった。
すると、ワゴン車が畑の縁に止まって、若者が何人か降りてきた。
「おっさん、鍋の材料買って来たでー」
「おそいわー!よっしゃ、こいつはちょっと変わったやつやけどよろしく」
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