滑った感じ/八男(はちおとこ)
「さあてと、やきいも焼けたかなあ!」
元気よくおっさんはストーブの焚き火の中から、やきいもを取り出した。あつあつのやきいもが出てきた。手の上に乗せると熱さで一度手放した。そのやきいもの跳ね具合は、イキのいい魚みたい。黒焦げの魚の分厚い皮を剥くと、中にはぷりぷりの黄色いお肉が!と、言いたいところだったが、やきいもと魚はいくら例えでも一緒になれないほど異なっていた。やきいもはやきいもでしかなかった。一口頬張ると、
「う、うまい!」
思わず、食いしん坊アニメみたいなリアクションをしてしまった。訂正して、本当はもっと違う、渋いリアクションをしたかったのだが、受け入れざるを得ないなと諦
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)