滑った感じ/八男(はちおとこ)
れて、原始的なあたたかさを思い出すようで、昔、自分は、インディオだったのではないかと思われるのだった。いつもの私だと、すぐに鏡が見たくなったりするほど、自分の顔や姿に執着しているが、焚き火の魅力によって、それが解放されているのがわかった。そしていつしか呼吸は落ち着いていた。
おっさんの頭はあいかわらず弁髪だったが、前よりもちょっと短くなったかなという感じだった。あったかそうなベストを羽織っていた。そして、もともとおっさんだったので老けたとかそんな印象は感じない。
おっさんは突如喋りだした。世界の貧困国の諸問題についてとか、日本を憂う話を、捲し立てて話すので、おっさんの話についていくのが
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