滑った感じ/八男(はちおとこ)
 
たかもしれない。と、勝手な事を考えた。
 しかし、あの楽しい思い出が、おっさんと再会することで崩れてしまったらどうしようとも思っていた。あのときは二人とも開放的だった。非日常の中にいたからだ。今は日常だ。終始事情が付きまとう。内心を全面に曝け出すわけにもいかない。自分がおっさんに境界線を貼られる怖さよりも、おっさんに線を引いてしまっている自分が居そうで怖い。そうなれば距離に思い出が、つまらないものにされてしまう。まあ思い出なんてどうでもいいや。そんなに大事に抱えているものでもあるまい。そんなものに支えられようなんて、浅ましい。どうなっても引き受けてやろう。
 
 しかし、気になるのが、誘われ
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