R/有邑空玖
 
腕を切ったりしても死ぬ気なんか無い癖に。どうせ死ねない癖に。……弱虫)


 残酷だ。生と云う現象は酷く残酷で美しい現象なのだ。忘れてしまう事は罪では無いと時は云う。罪では無い。罪では……果たして。


 あたしの妄想の中で廃墟と成った病院の割れた窓。埃の積もった窓枠。暗い廊下暗い病室。誰も居ない待合室。霊安室ではあたしの死体が放置され、黒服に身を包んだRが錆びた十字架を振り翳す。「何処迄も一緒に行こう」と云って。「僕を置いて行かないで」と云って。あたしが何度も叫んだ言葉を泣きながら繰り返せば良い。孤独に打ち棄てられた空(カラ)の希望を胸に抱いて、何時迄も泣き続ければ良い。泣いた
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