R/有邑空玖
を流して、空洞の眸であたしを凝視(みつ)めて居る。
かつて、
生者だった少年。
…………みんなしねばいいのに。いなくなればいいのに。
白く静謐な横顔。空白の眼差し。まるで凡ては嘘の様で(……其れでは此の虚無は何だ?)瞬きのうちに消え去る死者。…………死者なのだ。
露天商で買った安物のナイフで、あたしは自分の腕に細い傷を付けた。一瞬の後にぷつりと湧き上がる赤い血。痛みは自傷を促すだけで、其処へは辿り着けないと知った。何度も傷付け、何度も血を流し、ひりひりと常時痛みはあたしを生へと導くのみ。痛みこそが生。痛みこそが悪夢。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)