悪魔にラヴソングを/楽恵
 
の全身の血が
何故だか熱く燃えているのを感じた

聖邪のまなざしの一瞬の邂逅は
悪魔に理由の分からない嫌な予感を覚えさせた


ふたりは教会から少し離れた
町外れの丘のうえで再び会う約束をした


棘草の生い茂った丘の上には
大きな白い十字架が建てられていた


その十字架のたもとに
神父の娘は立っていた
くちびるに
天国を無邪気に信じ生きている微笑みを浮かべたまま

悪魔がやってくると神父の娘は悪魔を見つめた
悪魔は胸の激しい動悸で発狂しそうな眩暈に襲われた
この気分の悪さが自分自身のせいなのか
神が自分を罰そうとしているのかさえ分からなかった

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