焚き火がしたかっただけなのに/草野春心
て髪を整えて歯を磨くのは
もちろん無意識がするに任せ
意識へとログインする
パスワードはちゃんとどこかに
忘れないようにメモしてるけど
きっと
木枯らしが吹いたら
どこかに飛んでっちゃうよ
新聞を取りにいきたいとは思わず
冷蔵庫を開けてビールを飲む
冬の朝のビール
「冬の朝のビール」
冬の朝のビールは
厳格な詩人であって
ろくでもないジプシーであって
シンセサイザーの冷たい残響であって
世界中でたしなまれている貧しい贅沢なのさ
冬の朝のビールは
我らをまず淀ませる
まずは混濁
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