思春期の芸術的な衝動について/結城 森士
るあまりに、他人より劣っている自分を自覚した時には、おそらく相当な心理的ダメージを受けることでしょう。その事実を認めたくないという心理状態になったとき、「自己正当化」をしてしまいます。例えば、社会に適応できる他者と、社会に適応できない自分とを比較した際に、「社会が悪いんだ」と言い切ってしまったり、「あいつは立ち回りだけの人間だ」と、他者を否定してしまったりします。
「自己正当化」という文字だけを見ると、悪いイメージをもたれがちですが、私は「自己正当化」から来るその発想が決して間違っているとは思いません。一理あるからです。いやむしろ、そのような意見は本質を射ていることもあります。思春期の人も決し
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