臓腑の風景/ホロウ・シカエルボク
い生きていられるのだろう
なぞってみた、指先で、ゆっくりとなぞってみた、ガラ空きの腹腔、ガラ空きの腹腔の中を
こんなにガラ空きなのにどうして零れおちる音は止まないのだろう
肺を引きずり降ろそうとしてるみたいな
この絶対的な重力の正体はいったい何だろう
綺麗な線で描かれたものを綺麗だと思うことが出来ない
俺の心情はとうの昔から壊れているのだ
セメントに打ちつけた頭蓋の方がずっと綺麗だ
少なくともそこにはバランスを失ったなにかが存在しているから
整えられてはならない、少しも整えられてはならないのだ、俺にとって美しさとはきちがいじみた衝動の中にしかあり得ない
殺せ
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