冬の宿る/月乃助
く季節への感傷とあらたな行人の誕生のような
放逸さなのかもしれません。
季節はやってくるものなどでなく、
認識をする側の問題でしかないのですから、
暦がなんと口をはさもうと、
それを気にしてはいられない。
できそこないの剣のような積雲のひろがり
そこに、もう確かに冬が縁取りするようにいるとしたら
濡れた枯葉の中で秋は所在なげにうつむき
証明しようとするのは、億年より繰り返される
季節の変遷、消え去るのではなく、再生するため
やってきた源への帰還なのです。
秋の中に冬が宿っているよ
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