冬の宿る/月乃助
 
く季節への感傷とあらたな行人の誕生のような
放逸さなのかもしれません。

 季節はやってくるものなどでなく、

 認識をする側の問題でしかないのですから、

 暦がなんと口をはさもうと、

 それを気にしてはいられない。

できそこないの剣のような積雲のひろがり
そこに、もう確かに冬が縁取りするようにいるとしたら
濡れた枯葉の中で秋は所在なげにうつむき
証明しようとするのは、億年より繰り返される
季節の変遷、消え去るのではなく、再生するため
やってきた源への帰還なのです。

秋の中に冬が宿っているよ
[次のページ]
戻る   Point(6)