夜町/within
 
この町の夜は静かなもので
特に冬の夜は衝動に駆られて
大きな音を立てて改造車で走る
少年少女もいない
その代わり目には見えない何かが
充満していて、それに触れられると
その部分だけ鳥肌が立つ
ふと死んだものが人恋しくなったのか
それとも陰から猛禽が嘴を光らせているのか
街灯もない道を通るときはのんびりと
夜景を楽しむというわけにも行かない
特に山道は烏が鳴き声も上げずにじっと
こちらを見ている
こちらを見て思っている
とても冷静に分析している

背格好、性別、年の頃、肉付き、空腹か満腹か、何を食べたか、ストレスの程度、トラウマ
それと死の気配

まるで死神のよ
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