白黒、/ヨルノテガム
 
乾いた音は 怖い音



 蛇口から おじいが出てきて 徘徊ス




彼らは虚を好む ひとりが何役もこなし場を盛り上げようとする
いつかは演者にも客にもなれなくて暗闇でスポットライトを
探す羽目になる ライトにだってなれるし舞台装置にだって
なれるのに 虚人は何処かに消え去っている
――語ることを巡る旅




 モノトーン 光と影に 柔らかさ舞う



 天井に 魚拓のさかな 泳ぎ出す、海



 おもて灰 裏も灰色 オセロの休日



 シマウマが 白黒映画を 振り、振り向く



 開店の 藍の空に 女は灯す



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