光と手紙/木立 悟
終わりの淵
よろこびの帽子
光を落とせ
光を下ろせ
滴が降り
葉になり 虫になり
家を巡り
静かに去りゆく声になり
大きく碧いまぶたの浪が
ひらくことなく打ち寄せて
たくさんの夜の光の下
照らされぬものはまるく集まる
遠く離れた土の上に
同じ実が落ち
同じ指が触れ
冬はひと息 同じ夢を見る
嵐のなか
三つの音
雨 霧 灯
指のはざま 雪となる
稲妻
見える鳥 見えぬ鳥
棄てられた墓の
眠ることのないはばたきたち
夜の下 草の上
熱に浮かされたように見つめあい
双子は双子の手を握る
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