光と手紙/木立 悟
 
握る
双子は双子の絵を描く


燃えてゆく燃えてゆく
なかば冬である町から先に
燃えのこる燃えのこる
冬のふりをする路上の膝たち


ゆうるりとゆうるりと
指に沈む宝石
窓の光の行方と逆に
止まぬ病の標となるもの


雪の譜面をひらいては
溶け落ちるのを嘆く子に
氷の筆と氷の器
砕ける間際の光を降らす


咽のほうへ 喉のほうへ
見知らぬ波は近づいてゆく
雪の下の息 痛みたどる息
緑に眠る 震えに眠る


集う者から冬は離れ
まわり道をゆき 星を吐き
ひとりうたい ひとりうたい
凍える境のなかをゆく


光を逃れ 逃れられずに
永い永い雨の合い間に
未だ手紙を書きつづけている
額より少しだけ高い中空に



















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