Sympathy for the end/木屋 亞万
が
大陸の静寂を引き立てるように響くのだ
海の中に蓄積された全世界の記憶と栄養が
海の雪となって底に降り注ぐ
死のつめたさが身に沁みる光景だった
砂の届かない
北あるいは南の端かも知れぬ氷の世界に
一本の木の枝が氷付けにされていた
もしかしたらそれは女の足だったかもしれない
誰にも見つけられることのない
多種多様な生命の氷付けがありのまま痩せこけて
雪原に白々と埋もれている
血液は凍ると何色になるのか
紅葉した葉は凍ると何色になるのか
あの美しき野獣の心臓はどのように凍り付いているのか
色とりどりの埋没物は散り散りばらばらになって地の底で眠る
海底に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)