忘れられない言葉/南波 瑠以
てだった。地獄、そう言っても過言ではないぐらい、今思い返してみてもゾッとする。私は結局一睡も出来ぬまま朝を迎えた。そんな地獄のような一晩を乗り越え、呼吸の状態も良いということで、午前8時に呼吸器が外された。私は覚えていないが、10時に親が面会に来て顔を覗かせた時には、目を潤ませながら、まるで小さい子どものように
「1人で頑張ってんで!」
と言ったそうである。
手術から一晩が経ち、ICUから重症患者病室に移る事となった。病室に移動する前
「少しだけ外に出よっか。」
と言われて、ベッドに横たわったまま15分間の外出をした。雨が降っていたため、病院入り口のひさしの所までだったが、9日ぶり
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