忘れられない言葉/南波 瑠以
 
ぶりの空はとても綺麗で、心地良い風を全身で受け止めた。
「空を見れることがこんなに嬉しいこととは思わんかった。」
そんな言葉が自然と出た。空だけでなく、目からも雨が落ちてきた。

 手術が終わってからは回復に向かった。9日ぶりに口にした食事は重湯だったが、母親の必殺コロッケに匹敵するぐらい美味しかった。ぎこちない動きながらも、日に日に少しずつ動くようになり、そのたびに家族や仲間と喜びを分かち合った。リハビリも始まり、座ることさえままならなかったこの体も、支えがあれば座れるようになった。四六時中天井ばかり見ていた私にとって、その視界は全然違うもので、本当に毎日が感動の連続だった。

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