忘れられない言葉/南波 瑠以
 
 しかし全てが順調にいっていた訳ではない。熱も39℃を超える日が頻繁にあったし、何より相変わらずの全身の痛みが私を苦しめた。夜眠れない日も多く、小さい簡易ベッドを持ち込んで付き添いで横に寝ている親を起こすまいと、歯を食いしばり涙を堪えて「あと5分頑張ろう…あと5分頑張ろう…。」と自分に言い聞かせていた。
父親と深夜にテレビを見ていたある日、突然の激しい痛みが全身を襲い、病院に響き渡るぐらい大きな声で泣き叫んだ。父親はどうすることも出来ず、ただナースコールを押すだけだった。看護師に体の向きを変えてもらうと痛みが和らぐのだが、目の下に大きなクマを作った父は心痛そうにしていた。そんな父の表情を見たのは
[次のページ]
戻る   Point(20)