忘れられない言葉/南波 瑠以
 
のはこの時が初めてだった。私は涙を流しながら
「ごめんな、絶対強くなるから。絶対乗り越えるからな。」
と言った。テレビのわずかな明かりに照らされた父の顔から、涙が零れるのが見えた。

 事故から1か月半経った7月7日。病院にも笹が置いてあり、みんなが願い事を書いた短冊を付けていた。「願いが何でも叶うなら…。」そんな思いを込めて、何とか書けるようになった字で書いたのは「Let’s work」…? 「Let’s walk」と書きたかったのだが、この時は誰も気付かずにそのまま笹に付けた。どうやら英語はダメなようだ。しかし、そんな願いが通じたのか、リハビリで左・右・左と足が前に出た。こうして一つ一
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