忘れられない言葉/南波 瑠以
という、脱臼箇所に骨盤の骨を移殖し、プレートで固定する手術だった。5時間近くの手術は無事成功したが、何より辛かったのはその後だった。全身麻酔が切れ、目が覚めると声が出なかった。喉を切っての手術。人工呼吸器を付けていた為、声が出なかったのである。体も動かない、声も出ない。どうやって気持ちを伝えればいいのか、私は極度の不安に陥った。さらに自分の意思と関係なく、呼吸器によって呼吸させられていることも不安を増大させた。これではまるで生き人形である。生きていながら何も出来ない。あるのは激しい痛みと苦しみだけ。私は声の出ない口で
「死にたいー!殺せー!」
と叫び続けた。
これほどまでに長い夜は初めてだ
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