忘れられない言葉/南波 瑠以
ことも考えてくれた主治医の配慮だった。10分ほどの短い面会だったが、その時初めて冷静さを取り戻し、涙を流しながらも
「来てくれてありがとう、ゴメンな。」
と言うことが出来た。友達はじっと目を見て、目で答えてくれているようだった。私は本当に友達に支えられているなと感じた。この時、初めてこの体と向き合う覚悟が出来たように思う。後で聞いた話だが、友達は面会後、病室を出るなり
「泣いたらアカンと思って、必死に耐えとってん。」
と言ってしゃがみこんだそうである。
診断名は頸椎損傷だった。一時は強心剤も打つほど事態は一刻を争っていたが、生死の峠は越え、6月1日に手術を受けた。頸椎前方固定術とい
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