忘れられない言葉/南波 瑠以
覚が無く、手の在りかは確認したものの、未だ体はどこかへ行ってしまったようであった。混乱状態でありながらも
(これは死ぬかもしれない)
と感じた。私は一度、死を受け入れた。すると妙に冷静になり、私は今自分に何が出来るかを考えた。まず頭に出てきたのは
「ローソンで待っとくね。」
という当時付き合っていた彼女の言葉。そう、彼女は同じ体操部の後輩で、事故が起きる数十分前に
「一緒に帰ろう?」
と私に言った。少し迷ったが、どうしてもこの日に2回宙返りを成功させたかった私は
「もうちょっとしたら行くし、ちょっと待ってて。」
と返した。「ローソンで待っとくね。」はそれに対する彼女の答えだった。私
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