湖のように豊かな、浦歌無子さんの詩集 『耳の中の湖』/イダヅカマコト
て
「明日は晴れるかなあ」ってあなたはかすれた声でつぶやいて
わたしはあなたの間にお互いの深い深い沼に届く会話はひとつもなくて
だからこそあなたを掴んでいる右手を話すことが出来なくて
話せないから何をするにも左手しか使えなくて}
「〜〜て」という継続の助詞「て」によってリズムを整えられた最後が印象的な部分を引用しました。
蛇口からこぼれている水が「雨ではなくて」という当然の事実と「あなたの手はふるえていてうまく火がつけられなくて」という「あなた」の動作がぶつかっています。
さらに、「あなた」が鳴らすライターの音で「わたし」についた火種の次の行、
「猩々」ではじまる8種類の違
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