湖のように豊かな、浦歌無子さんの詩集 『耳の中の湖』/イダヅカマコト
できないのです
(わたしは妹をオルゴールのように鳴らしたかった
言葉を失った妹をオルゴールのように鳴らしたかった)}
○並んでいく野の花の名前。
○「小鳥の骨が折れるような音がする」花びら
○掘り返される「小鳥のお墓」
○死んだ小鳥の骨をかじる猟奇的な口。
○口から鳴る音
○おかしくて走り回る語り手
というように、子の引用の最後の「(わたしは妹をオルゴールのように鳴らしたかった/言葉を失った妹をオルゴールのように鳴らしたかった)」まで、一つひとつの名詞にこの詩でしか使えないような存在感が与えられています。
そして、存在感を与えられた言葉が自分の力で走
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