世界中の人にそっぽ向かれた日のこと/ゐおり
 
提案にあたしは黙って頷き、神様の横へ行って背表紙の美しい一冊を手に取りました。神様は『私は読まないのだけれど、いなくなってしまった人の物だから中々捨てられなくて』と、ぱらぱらと紙を捲っておられました。あたしは神様から本へと視線を戻し、それを開きました。
中は真っ白でした。
詰まらなくて次の本を取るものの、それも真っ白でした。何か書いてある本を探しましたが見つかりません。不思議に思って表紙や背表紙を確認するも、知らない文字が行儀悪く並んでいるだけで、何も分かりません。
顔を上げると、神様があたしを見詰めていました。
『そろそろ始めましょうか』
あたしの裁判が始まりました。

神様の質疑
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