Winter Blue/ホロウ・シカエルボク
どそんな気がした
確かめる気もなかったけれどそうだと思うことにした
だってそれが風景としちゃ一番綺麗に見えるから
街に慣れたカラスが二羽、初々しいカップルみたいに戯れながらビルを越えてゆく
そのままそこに居たら次にニュースになるのは自分のような気がして
あまり急いでるみたいに見えないように気をつけて速足で降りた
人間というやつは群衆になるとどうしてこうもきちがいみたいに見えるんだろう
そんなことを思いながら線路沿いを一駅分
未成仏な気分を抱きしめながら歩いた
ひとりの若い男が目を伏せて急ぎ気味に、俺の横を駆け抜けていった
すれちがった瞬間脇腹に鈍い痛みがあった
俺は倒
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