Winter Blue/ホロウ・シカエルボク
は倒れながら男の足を掴んだ
逃げようとしていた男はバランスを崩して顔から地面に突っ込んだ
なにかが割れたような乾いた音がした
俺は起き上がろうとしたけれど激痛に力をなくして
駅に入ろうとしてる電車の音を聞きながら仰向けに倒れた、どうしたんですか、大丈夫ですかと誰かが話しかけていた、声が綺麗な女だった、そのうちその声は悲鳴に変わった
空を覆っていた雲は、いつの間にかどこかへ流れていて
テレビ画面のブルー・バックによく似た青が広がっていた
俺を刺した若い男はぴくりとも動かなかった
ああ、ああ、もうじきほんとの冬が来る
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