あなたの右手は狂人だ/ホロウ・シカエルボク
 
んだが、困ったことにそれに口をつける気分には全くならなかった、諦めて背もたれに身体を沈めて目を閉じた、しばらくそうしているだけのつもりだったがやがて眠りこんだ

金切り声と右腕の焼けるような感触に目を覚ましたら、入ってきたときにはいなかったウエイトレスが血走った目で俺を睨みながら俺の右腕に何度もナイフを突き立てていた、騒ぎを聞きつけた近くの客や他の店員が彼女を俺から引き剥がした、俺の右腕はやすりにかけられたみたいにボロボロになっていた、店の責任者が青ざめた顔で何度も詫びながら俺を病院まで連れて行ってくれた、治療を済ませて待合室に出てくるとさっき駅で話した警官がいた、さすがに彼も今度は少し俺のこ
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