あなたの右手は狂人だ/ホロウ・シカエルボク
俺はヤツの牙を避けようと右手を伸ばしてヤツの顎を押し上げた、するとヤツはもの凄い悲鳴を上げて俺から飛びのき、いままさにホームに滑り込まんとしている快速の前に飛びだした、轟音、無数の悲鳴、嘔吐する声、バタバタという足音、猛烈なスクリーミンがホームを支配した
俺はほんの少し警官と話をする必要があったが、男が喚きながら俺に襲いかかったため、たくさんの人間が俺たちのことを見ていた、誰もが電車を降りた途端に俺が襲われたのだと証言した、「まあ、いいでしょう」と警官は言った、「災難でしたね」「まったく」と俺は言ってそこを離れた
駅のそばの喫茶店で少し休もうと思ってソファーに腰をおろしコーヒーを頼んだ
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