あなたの右手は狂人だ/ホロウ・シカエルボク
 
えないがそんなに禍々しいものだとも思えない、ただそこからキチガイが飛び出して、手相が破綻してるだけだった、だけど今日は昨日の街の方には出ないことにした、俺のことを覚えてるやつだってまだたくさんいるだろう、面倒なことには関わりたくないのだ、占い師にはすまないことをしたという気持ちもないではないが、俺だってあんなことになるとは思ってもみなかったんだ、電車に乗って少し離れた繁華街まで出かけた、ホームに降りた途端に若い男がわけの判らない言葉を喚きながら俺に飛びかかってきた、倒れた俺にまたがり、犬のように歯を剥き出しにして俺の喉笛を掻き切ろうとした、完全にイッちまっているがそこそこハンサムな野郎だった、俺は
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