あなたの右手は狂人だ/ホロウ・シカエルボク
、ご親切に救急車を呼んで病院まで付き添い、注射点滴雨アラレ、やっこさんが生気を取り戻すまでずっと待ってやった、なのにやつは目を開けるなり、礼も言わずに帰ってくださいときたもんだ、「あなたの右手は狂人だ」「そんなの判ってる」そんなこんなで病院を出ると辺りはもう夕焼けに包まれていて、このへんに土地勘のない俺はとりあえずバス停を探したがよく考えるとバスに乗れるほどの金を持っているのかどうか定かじゃなかった、さて参ったなとポケットを探ったら占い師の札入れが出てきた、そうか、倒れたときにヤツの懐から零れたものを拾っておいてやったのだった、渡すのを忘れていたが、もう渡さなくたってかまいやしないだろう、札入れを
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