動脈のような潮騒/ホロウ・シカエルボク
 
てから夜に溶けていった、アンモニアの夜、アンモニアの海、いなくなったお前のあとに
足元が深く砂に入る、海よ、海よ、俺を食らおうと言うのか、お前に俺を食らうことが出来るのか
お前の絶対さだっていつか壊れる、お前だってきっといつかは過去のものになる、俺は滅びたくない、滅びることのないただの思念になりたい、いっとき砂浜に散らばった、やり切れない不完全さとは違う滅びることのないただの思念に
お前は俺になることが出来るか、お前は俺になることが出来るか、俺は靴底を撫でる波の先端に向かって話しかける、これ以上どんな言葉が必要なのか、俺がお前とは違うものだと言うがために
永遠は滅びるものにしか綴れ
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