動脈のような潮騒/ホロウ・シカエルボク
いるように見える、誇りなんてこんな所には無いさ、と俺は答える
誰かを荼毘にふそうとするとき、生きてるものの誇りなんてそんなもの何の関係もない、俺は持つべき時をそこそこ心得ている、誇るべき時をなんとなく心得ているんだ、お前にはそのことは判らないだろう、なぜならお前はもう誇ることもないからだ
みっともない死、みっともない死、ただただひたすらみっともない死だ、お前を焼いた煙は
さめざめとなく幽霊のようだ
ううお、と北風が殴りつけるように吹いて、お前という哀れさがたちまちに砂浜に散らばる、埋葬すら残されなかった、俺はジッパーを下げてそのあとに小便をした
小便は独り言みたいな泡を吐いてか
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