濁流/within
、ぼんやり思った。
今年の夏、お盆に、祖父と祖母の眠る墓に両親と兄と幼い姪と甥と弟とで墓参りに行った。そこにはもう死の気配はなく、うだるような暑さで、誰かが供えてくれていた花も生気を失い、萎れていた。甥が
「ひいじいちゃんはどこなん? 」
と尋ね、兄が
「お墓の中におるんや」
と説明しても合点のいかない様子で、行くあてのない線香を手にしながら、狭い墓地を物珍しそうに姪の後ろに付いて歩き回っていた。
祖父の死因は肺炎だった。病院から電話がかかり、駈け付けたときには、もう意識がなく、口に酸素マスクをあてがわれ、一呼吸一呼吸、喘ぎながら体全体の力を振り絞るように呼吸してい
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