背中には向日葵(リライト)/木屋 亞万
なかった、もちろん僕の名など呼ぶはずがない
姉は花を毎日持ってきた、そして解体された花を丁寧に集めて、
日記にセロテープで貼り付けていた、こうすれば花はしばらく色を失わないのと言った
母はもう母ではなくただのヨウコになっていたので、手紙と金が母を象るすべてになった
姉が僕にとっての母で、手紙も金もただの紙と金属だった
ある日、姉がいつもの雑多な花束ではなく、大きな一輪の花だけを持ってきた
向日葵か、僕の真逆だ、と思った、実際にそう姉に言ったのかもしれない
姉は僕に言った、この花はあなたの真逆じゃないわ、あなたと隣りあわせなのよ
つまりね、
あなたの背中には向日葵があるのよ
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